こちらの記事では、アガベのメリクロン株(組織培養・クローン苗)の特徴や増やすやり方、メリットやデメリットについてまとています。
メリクロン株の育て方や溶ける注意点も記載しているので参考にしてください。
アガベのメリクロン株とは何?
人為的に増やしたクローン株
アガベのメリクロン株とは、茎頂培養のことを指し、簡単に言えば親株アガベの成長点(細胞分裂をして新しい葉を出す場所)の細胞を切り出して作られた株の事を言います。
親と同じ遺伝子を持つクローン体なので、希少品種や見た目姿の良いアガベなどを増やすことができます。
メリクロン株を作るには、栄養分のある無菌の培養地で培養して増やす手間などがありますが、短期間に数十数百株へ増やすことが可能です。
つまり、1つの株の成長点から人為的に1個→2個→4個→8個→16個と倍々に増やすことができます。
メリクロンとは、メリステム(meristem、主として茎頂 (shoot apex) のメリステム)とクローン (clone) をつなぎ合わせて作られた言葉。
すなわち、茎頂培養のことを言う(メリステムのことを和訳して分裂組織という)。
植物体の頂端分裂組織近辺にある細胞は一般的にウイルスフリーであるため、理論上、この細胞を培養することでウイルスフリーの植物体を作ることができる。
しかし、実際には一度の培養ではウイルスフリー株を作ることは難しいため、数段階の培養を経てウイルスフリー化している。
wikipediaより
一般的なアガベの増やし方
一般的なアガベの増やしは「自然的に子株が吹く」と「胴切り(縦割り)をして子株を吹かせる」方法がありますが、これらは植物任せな部分が大半を占めるので、効率が良いとはいえません。
ですが、メリクロン(組織培養)によって故意に細胞分裂をさせることができ、人の手が入ることによって効率的に増やすことができます。
メリクロン株は良い悪い?
メリクロン株は人為的な生産方法なので、様々な視点から見ると良い悪いなど賛否両論が多々あります。
植物をメリクロンによって増やせる技術が発展したのは素晴らしい事なのですが、その反面メリクロンによるデメリットなども存在します。
メリクロン株のメリットや、デメリットなどを下記にまとめているので参考にしてください。
メリクロン株のメリット・デメリット
メリクロン株のメリット一覧
- 安く購入することができる
- 斑入り品種が出ることもある
メリクロン株による第一のメリットは、園芸初心者の方からすると安く植物を購入できるので、多くの方がお買い求めやすくなったのではないでしょうか。
また、メリクロンアガベ界隈では希少価値が高いとされている「斑入り」個体になることが稀にあります。
メリクロン株のデメリット一覧
- 植物の価値が暴落する
- オリジナルの劣化版と捉えられやすい
- 高級品種の偽物として売られやすい
- 子株のうちは溶けてダメになることがある
上記の安くなるメリットがある反面、メリクロンが普及することによって「オリジナル株の制作者」や「趣味家」目線で見ると植物の価値が下がるデメリットがあります。
メリクロン株でよく言われるのが、オリジナル株の劣化版と捉えられやすいですが、同一の親から培養された子供なので、オリジナルに劣る事はないかと思われます。
ですが、オリジナル株から吹いた子株やオリジナル株を育てた苦労などを加味すると、偽物だという意見も一理あるかと思います。
▼偽物が出回る
メリクロン株が子株のうちは本物か偽物かの見分けが難しいため、高級品種のオリジナル子株として売られることもあります。
▼メリクロン株が小さいと溶けることがある
メリクロン株は無菌状態で培養されて作られているので、株が小さいうちは菌に対する抵抗力が弱いため、溶けてしまうことがあります。
そのため、下記で解説する「順化作業」をしっかりと行う必要があります。
▼筆者としてメリクロン株は・・・
筆者個人的な意見では、メリクロン株はオリジナル株のクローンなので劣る事はないハズなのですが、特徴となる部分(鋸歯や斑など)がやや弱くなる気がするのでオリジナル株が欲しいです。笑
メリクロン | オリジナル |
本物か分かりませんが、ヤフオクにて「南アフリカダイヤモンド(SAD)」の子株が出品されていました。
左画像はSADだとしてもメリクロンなので、ほぼ同じ葉数でも右のオリジナルSADと比べると、どちらが将来有望かと考えると自ずと答えは出てくるかと思います。
右画像のオリジナルSADの育成記録は、下記で定期的に更新しています。
メリクロン株の育て方
順化作業を行う
▼順化作業とは?
無菌状態から、徐々に浮遊菌や土壌菌に慣らしていく作業を「順化」と言います。
メリクロン株を購入した際は、密閉された無菌状態の容器にメリクロン株が寒天(ゲル)に植えられて入っていることが多いです。
無菌状態で育っている株は、いきなり菌の多い土などに植えると株が溶けたりする可能性があるので、まずは空気中の菌に慣らすことから始める必要があります。
メリクロン株の順化作業の方法
メリクロン株を順化させるには、密閉されている容器に1日に一つずつ穴を開けて、2週間から1ヶ月ほどかけて空気中にある「浮遊菌」に慣らしていきましょう。
浮遊菌の順化途中で寒天などにカビが生えた際は、放っておくと株にまでカビが生えてしまうのでメリクロン株を「軽石100%」に植え変えましょう。
もちろん軽石なので保水力が低いため、1日数回の水やりを行う必要があります。
アガベのメリクロンのやり方・栽培方法
メリクロンで増やす方法一覧
- 自分でキットを買って培養する
- 外部業者にメリクロン作業を依頼する
実際に自分でアガベのメリクロン株を作ってみたいと思う方がいるかと思います。
メリクロンを作るには自分で培養するか、プロの業者に依頼をする方法があります。
1、自分でキットを買って培養する
メリクロンの栽培キットはネット販売しており、自分でメリクロンを作ることも可能です。
栽培キットを購入後は説明書に沿って栽培しましょう。
▼無菌ボックスが必要
メリクロン苗を作る際は、無菌状態にしておかないとカビなどによって失敗するため、事前に無菌ボックスを用意しておきましょう。
上記の無菌ボックスでも一番安い価格なので、メリクロン株を作るにはそれなりの準備が必要となります。
また、メリクロン株を作るにあたって、栽培期間も2~3年ほどは見積もっておきましょう。
2、外部業者にメリクロン作業を依頼する
メリクロン作業の失敗リスクを下げたい場合は、プロの業者に依頼しましょう。
個人でメリクロンを作るより費用は掛かりますが、準備する道具や管理期間などを考えると依頼するのもいいでしょう。
▼メリクロン依頼の相場料金
管理費(2年間) | 10万円 |
作業費 | 10万円 |
苗料 | 5万円/100株 |
合計 | 30万円前後 |
管理費は、アガベの成長点から細胞を採取して、土に植えられるまで育てる費用です。
人工的とはいえ、植物の育成なので外部業者に依頼しても失敗するリスクはあるようです。
OCやTCとは?
メリクロン関連でよく使われる「OC」とはオリジナルクローン(original clone)の略で、TCとはテッシュカルチャー(tissue culture=組織培養)の略語です。
なぜTCはメリクロンの頭文字ではないのかと言うと、メリクロンは造語で「メリ=メリステム(分裂組織)」と「クローン」を合わせてメリクロン=TCと同意義になっています。
メリクロンは、アガベの他にも「ハオルチア」や「ビカクシダ」などでもメリクロンが普及しております。
関連記事
関連記事
アガベの関連記事
人気アガベの育て方・管理方法
高級品種アガベ一覧
希少価値の高い高級品種をまとめています。
管理人の植物販売
管理人の植物ページを開設しました。
安心の高い「Stores」を使って販売しているので、ぜひご覧ください。
アガベ育成記録
種まき・播種記録
アガベ | |
▶エボリスピナ | |
サボテン | |
▶黒王丸 | ▶花籠 |
詐欺サイト・フリマ報告
関連記事 | |
▶悪徳サイトの特徴・対処方法 | |
▶悪質販売者報告 | ▶悪質購入者報告 |
▶購入前の注意ポイント | ▶本物か偽物の見分け依頼【New】 |
観葉植物TOPに戻る
関連記事 | |
▶サボテンTOP | ▶アガベTOP |
▶ビカクシダTOP | ーーー |
PR記事一覧
-
ゲーム記事
-
ネット情報
-
大人向け